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カフェインレス・コーヒーノキ

脱カフェイン法では風味の損失が問題視されていることから、これに替わる方法として最初からカフェインを含まないコーヒーノキを育種する試みがなされている。カフェインレス・コーヒーは欧米での市場規模も大きいため、バイオ・ベンチャー・ビジネスの方面からも注目されている。

2004年現在、遺伝子組み換えの手法を用いたものと従来から行われている人工交配による育種によるものの2例で、カフェインレス・コーヒーノキの作製に成功している。しかしながらまだクリアすべき課題も多く実用化には至っていない。


遺伝子組換え
遺伝子組み換えによるカフェインレス・コーヒーノキは、2003年に奈良先端大の佐野浩教授らのグループによって初めて作製された[2]。遺伝子工学の手法を用いて、カフェインの生合成に必須なテオブロミン合成酵素の発現を抑制するようにデザインしたsiRNAを、アグロバクテリウムを使ってコーヒーノキに遺伝子導入することで、カフェインとその前駆体になるメチルキサンチン類の合成を抑えた。
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この業績を可能とした理由の一つに、カフェイン合成酵素の遺伝子がようやく成功したということが挙げられる。カフェイン合成酵素はそれまでに酵素活性の存在は知られていたものの、単離の難しさ故にクローニングが難航していたものの一つである。このカフェイン合成酵素をお茶水大の芦原らのグループが2001年に世界で初めてチャから単離し[3]、それに続いて佐野らがコーヒーノキから単離に成功していた[4]。このとき得られた遺伝子配列があって、初めてこの研究は可能になったのである。

しかしながら、このとき用いられたコーヒーノキは商品価値で劣るロブスタ種(Coffea canephora)であった。また報告されたもののカフェインの含量は、通常のものよりも減少してはいたものの、全量が3分の1程度に低下したのみであり欧米のデカフェの規準値には至らなかった。このことから実験室レベルとしてもデカフェとして十分なものとは呼びがたいものであった。

また実際に実用することを考えると、遺伝子組換え植物は環境や安全性の点で消費者の警戒感を招きやすく、このことが実用化への障壁になる可能性も考慮すべきであろう。

育種 [編集]
従来通りの交配による品種改良でカフェインレス・コーヒーノキを作ろうという試みも古くから続けられていたが成功例はほとんどなかった。しかし、2004年にブラジルのファズオリらの研究グループが1987年から継続していた品種改良によって、0.076%(生豆乾重量中)という極めてカフェイン含量の少ない品種の作製に成功したことを報告した[1]。

この品種は、アラビカ種の一品種であり商品価値の高いムンドノーボ(C. arabica 'Mundo Novo')を起源としており欧米のデカフェ規準も満たすことから注目されているが、実際にはカフェインの量こそ少ないものの、その直前の生合成中間体であるテオブロミンが通常のものより多く蓄積している。すなわちこのコーヒーノキはカフェイン合成の最後の過程にあたるテオブロミンメチル転移酵素に欠損などの異常を生じたものだと考えられる。テオブロミンはカフェインと同様に中枢神経興奮作用などの薬理作用を示すメチルキサンチン化合物であるため、このコーヒーノキが、デカフェ本来の目的であるカフェインによる作用の忌避に有効であるかどうかは極めて疑わしく、その実用性を含めた検討が待たれている。

デカフェの歴史 [編集]
1819年 ドイツのフリードリヒ・ルンゲがコーヒーからカフェインを単離
1906年 ドイツで脱カフェイン技術が考案される
1941年 ベリーとウォルターズが水抽出法を開発
1974年 超臨界二酸化炭素によるカフェイン抽出法の開発
1978年 西ドイツHAG社にて超臨界二酸化炭素抽出の工業化
2000年 芦原らがチャのカフェイン合成酵素の遺伝子を同定[3]
2001年 佐野らがコーヒーノキのカフェイン合成酵素の遺伝子を同定[4]
2003年 佐野らが遺伝子組換え技術を用いたカフェインレスコーヒーノキの作製に成功[2]
2004年 ブラジルでカフェイン含量の少ないアラビカ種のコーヒーノキの育種に成功

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2009年06月10日 14:13に投稿されたエントリーのページです。

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